社会保険労務士の武田かおり先生と,アパレル系デザイン会社の平有子社長を講師に迎え,テレワークを活用したワークライフバランスの研修が開催されました。はじめに,山西幹事長からご挨拶いただいたのち,武田かおり先生からテレワークの概要,効果,導入方法などについて講演いただきました。武田かおり先生は,テレワーク相談センター大阪を運営し,厚労省・総務省主催のテレワークセミナー講師を務めておられます。講演では,パワーポイントで多くの資料や数字を読み解いていただき,とても分かりやすく勉強になりました。
テレワーク(Telework)とは,Tele(遠い、離れて)とWork(働く)という言葉を組み合わせた言葉で,「情報通信技術を活用した,場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」をいい,週に8時間以上オフィスを離れて仕事をされる方を「テレワーカー」というそうです。在宅勤務により,育児や介護と両立できるほか,通勤の時間短縮,ストレス緩和,経費削減等のメリットがあるそうです。
2013年のテレワーカー人口は,就業人口(約6474万人)の17.3%,約1120万人に上り,導入企業は全体の9.3%(従業員規模100人未満の企業を除く),資本金50億円以上の企業では40%あるそうです。海外に目を移すと,アメリカのテレワーカー数は,2002年時点で3400万人,就業者人口の約25%に上り,随時テレワーク(子どもの病気時等)を導入している企業は80%以上存在するそうです。なお,韓国でも,2009年では国・自治体の12.6%が導入しているそうです。日本でも更なる導入を目指して,厚生労働省は,助成金制度を設けており,一定の条件の下,1企業につき最大150万円の補助金を支出しているそうです。なお,条件が達成されなくとも100万円が支出されるそうです。そのほか,総務省は,テレワーク導入に関する相談やコンサルティングを行う専門家を無料で派遣しているそうです。このような制度を上手く利用して弁護士の間でも導入が進めば,多忙を極めがちな職場環境もより改善されるのではないかと思いました。
平社長からは,滋賀県在住で週一日だけ出勤されるデザイナーの方のお話や,東京のクライアントとの打合せを,テレワークを利用して行うことで,出張費を4名分から1名分まで削減できることなどを具体的に教えていただきました。また,平社長が会社で導入されているテレワークツール「SOCOCO(ソココ)」というソフトウェアをご紹介いただき,在宅勤務するデザイナーの方とのデザイン打合せの様子を,プロジェクターに映し出しながら,実演していただきました。SOCOCOは1人月額2,500円で利用が可能で,パソコンでソフトを立ち上げると,画面上にバーチャルオフィスが出現し,SOCOCO立ち上げ中の社員がアバターで映し出され,パソコン上で接触が可能(会話も可)になります。また,相互に利用中のデータを画面上で共有し,修正加工の打合せが容易にできるなど,とてもリアルで使いやすいツールだと思いました。バーチャルオフィス内の個室にいるアバター(=社員)にアクセスしようとして扉をノック(画面上ではクリック)すると,実際にノックの音が聞こえるなどして,楽しい感じがしました。これらの活用法を具体的に説明いただくたび,目からウロコが落ちる思いで,大変新鮮でした。(SOCOCOの紹介サイト http://www.telework-management.co.jp/sococo.html )
その後,パネルディスカッションが開かれ,コーディネーターの西原和彦会員による進行の下,武田先生や平社長のほか,中井洋恵会員にご参加いただき,弁護士業務におけるテレワークの導入方法について意見交換がされました。また,研修に参加いただいた方からの質問も併せて検討が行われ,特に,事務所サーバーへの遠隔地からのアクセスやデータ管理上のセキュリティ対策について議論がされました。最後に,今井力副幹事長から終わりの言葉をいただき,研修が終了しました。
あっという間に時間が過ぎた,とても充実した内容の研修でした。今後,このようなテレワークの議論が深まれば,弁護士のワークライフバランスにとても有用のように思われましたし,業務効率化や,経費削減の点でも注目に値する分野だと思いました。貴重な時間をいただき,大変ありがとうございました。