意見書

1、立候補を決意して
平成26年度の大阪弁護士会会長候補に推薦していただきたく立候補の届出をいたしましたので、選考にあたり意見を申し述べます。
現在の大阪弁護士会の女性弁護士は約700名、全会員の17%弱です。今後ますますこの比率は高くなります。一方、弁護士会の意思決定ボードへの女性の参画は少なく、昭和15年に初めて女性弁護士が登場して以来70年余になりますが、これまで当会の女性副会長はわずか6人、会長に至ってはゼロです。人権擁護と社会正義の実現を職責とする弁護士会がいつまでもこれでいいのか。この思いが立候補を決意した理由の一つです。
更に、私はこれまで大阪弁護士会及び日本弁護士連合会(以下、日弁連)の人権擁護委員会を中心に活動をし、それぞれの委員長を経験しました。
弁護士業務としても、時代の課題にそって、職場での平等、東南アジアからの出稼ぎ女性労働者の救援、セクハラ・性被害事件、DV離婚事件と形は変わっても、一貫して女性の権利に関わる事件を扱ってきました。
その経験の中で、全国の多数の会員や市民の多様な人権活動を見ることができました。また、国民の格差は広がる一方で、かつて弁護士会が人権と平和の視点から全会あげて反対し廃案となった秘密保全法、マイナンバー法案の復活の動き、憲法改正・国防軍の創設の浮上等の問題も出ています。法律家として、市民にその内容についての情報をきちんと伝えていく責務もあります。大阪弁護士会会長は同時に日弁連の副会長でもあり、人権の視点を持つ立場で、弁護士会の人権活動を支えたい、それが立候補の二つ目の理由です。
更に、司法の世界に目を転じれば、法曹三者の一翼である弁護士そして弁護士会を取り巻く環境は大変厳しくなっています。急激な司法試験合格者増員の一方で、弁護士の職域拡大は進まず、訴訟事件数も減少しています。未登録、即独、ノキ弁の新人が、大阪でも少なくありません。また、近時の預かり金の横領等の不祥事の頻発は、かつて市民が弁護士に抱いていた信頼を大きく損っています。
このまま手をこまねいていては、会の内外から弁護士自治が揺らぎ、司法の屋台骨が揺らぎます。これまで法曹三者が協力して後進を育成してきた司法修習制度の将来にも危惧があります。
私は、いろんな問題はありつつもこの司法の世界、そして誰に臆することなく行動でき、困っている人を支えることができる弁護士の仕事が好きです。その世界を変容させてはいけない、そのために全力を尽くしたいという思い、それが立候補を決意した三つ目の理由です。

2、会長として何をしたいか、何をなすべきか
(1) 人権基盤の確立と推進
日弁連の人権擁護委員会委員長として、「人権のための行動宣言2009」の作成に関わりました。この宣言は、日弁連の人権活動の到達点と今後の目標を掲げるものです。日弁連の各人権関連委員会は、それぞれ活発な活動をしているものの各委員会の横の連携が十分ではありません。そこで、横の連携を強くして、人権総体としての力を強めるため、また宣言実行の検証機関として、毎年人権大会の時期に人権関連委員長会議が開催されるようになりました。今後も、日弁連の人権活動の基盤を盤石なものとし、更に推進していきます。
個々の人権課題については割愛しますが、震災復興、刑事司法、貧困、労働、環境保全、消費者、高齢者・障害者、子ども、外国人、女性等々の諸課題は、各委員会の取り組みを尊重して、推進します。

(2) 急激な増員を抑える
私は、増員に反対するものではありませんが、これまでのような急激な増員は余りにも弊害が大きすぎます。社会のニーズを見ながら適正数の増員であるべきです。
もっとも、日弁連だけで法曹人口数が決定できるわけではないので、信頼できる司法のために、信頼できる法曹を育成する必要があるということを、幅広い市民が理解し共感を得るために何をすればいいのかを考え、また優秀な若者が魅力的な職業として法曹を目指せる環境づくりとして、給費制の復活も含めた経済支援の実現等に取り組みたいと思っています。

(3) 今、困っている若手の支援
大阪弁護士会はこれまでも積極的に若手支援に取り組み、会費の減額、即独・ノキ弁へのOJTのサポート等々、その成果を上げています。しかし、若手といっても、それぞれ置かれた立場が異なり、その要求は様々で、ひとくくりにはできません。まずは今一番支援を必要としている即独、早期独立者、ノキ弁等に必要な支援、とりわけOJTの機会を手厚くしたいと考えています。

(4) 若手の意見と力を会務に取り入れる
いずれにせよ、支援の具体的内容については、当事者目線で見て必要なものでなければいけないので、例えば5年目までの若手弁護士だけで構成される若手委員会またはプロジェクトチームを設置し、自由な意見や若手弁護士のニーズに合ったアイディアや企画を実施して貰いたいと考えています。

(5) 業務の拡大と専門性
既にかなりの弁護士人口が増えているのですから、職域拡大は重要なテーマです。とりわけ、これから独立開業を考える層には、喫緊の課題です。
この問題については、これまでの役員も熱心に取り組まれてきました。種をまいたばかりのもの、双葉が出たものと様々ですが、一層の推進が必要です。行政との連携、中小企業の支援、他団体との接点を作り、新規分野を広げ、深め、弁護士業務の範囲を更に押し広げることはもちろんのこととして、かつて弁護士が担ってきた業務に今隣接士業が参入してこようとしています。業際問題、弁護士の業務の確保という点だけではなく、それで果たして、市民に良質の法的サービスを提供できているのか、弁護士としてもっと良質のサービスを提供できるという自負を持って守っていくことも必要です。
市民からは、高い専門性からのアドバイスを求められています。国際化の中で外国に進出する企業のサポート、また日本国内の外国人の諸問題、難民申請のサポート、ハーグ条約の締結に伴う手続き、渉外離婚等々に弁護士が関与する機会も増えています。従来の専門研修に加えて、新たな分野の幅広い専門研修も必要でしょう。
法律相談センターの委員長の経験から、センターを職域拡大のツールとして展開させていくこと、例えば、市民の法的サービスへのアクセスを容易にするために、新機軸の発想で業務拡大にむけての改革に取り組めないかと考えています。ネット相談については既に検討中と聞いていますが、さらなる発展はないか、これも幅広い層から聞いてみたいものです。

(6) 会財政と機構改革
大阪弁護士会は、平成24年度決算は赤字を免れたものの、赤字予算が続いています。
収入の殆どは会費です。現在は登録4年目までの会員、病気、産休・育休など会員に対する支援を要する会員への減額や免除措置がありますが、今後も更に減額や免除措置を要する会員の拡大もありえますので、会員数が増えたとしても収入の大幅な増加は期待できません。また、高額の会費の負担が重いという声も聞きます。
会財政を健全化するには、支出の削減しかなく、その見直しが必要ですが、その中では人件費等管理費が大きな割合を占めていますが、残業代等を含めた人件費を抑える為には、弁護士会の機構を改革して、効率の良い運営に努めることが避けて通れない問題です。

(7) 不祥事対策
何よりもまず予防です。不祥事はある程度のパターン化ができ、それぞれに即したきめ細やかな対策を立てること、その他倫理研修の強化、会員サポートシステム、カウンセラーへの相談、市民窓口の情報の共有等々、既に会として着手しているものの充実に加えて、不祥事を防ぐ、あるいは小さな芽のうちに抑止する対策を考えていきたいと思います。
また、残念ながら発生した不祥事に対しては、弁護士会として迅速かつ厳正な対処をするほかありません。

(8) 広報
ここ数年の年間広報予算は、2000~6000万円です。
総合法律相談センター運営委員会のアンケート結果では、センターの認知媒体は、インターネット、自治体、行政、その他団体、裁判所、チラシ・パンフでした。多額の費用を要したマスコミの利用は殆ど効果はありませんでした。今後は、ホームページ、facebook等をもっと積極利用をし、多くの人が見たいと思う充実した内容にすることが必要です。また、弁護士が、法廷活動だけでなく、法律相談、契約書の作成等によって紛争を事前に予防する業務等も多いこと、困ったときはいつでも気軽に相談できる身近な存在である事をアピールするなどのポイントを絞った広報にする工夫が必要です。
広報のポイントは、知らせたいことを絞って、効果的な手段で行う、これにつきます。

(9) 会内合意
大阪弁護士会の会員は4000人を超えました。半数近くは5,60期代 です。 会派に属しない会員も増えています。仕事に追われて、委員会活動に参加できない、また会務に関心が無い会員も増えています。
しかし、弁護士を巡る状況が大変な今こそ、1人1人の弁護士が、傍観者でなく、当事者として、自分の頭で、その打開のために何をすればいいかを考え、意見を戦わせ、総力を以て、前向きに対策を考えて、この危機を乗り越えていかねばならないと思います。
とりわけ、いまや会員の半数を占める若手に、真剣に弁護士と弁護士会の5年先、10年先、20年先を考えてほしいと願っています。
意見が出し合える弁護士会にしていきたいと思っています。

3、経歴等
(1)
昭和23年生。
昭和47年京都大学法学部卒業。
昭和51年大阪弁護士会に登録(28期)、なにわ共同法律事務所に入所。昭和56年独立し、個人事務所を開設。昭和63年同期との共同事務所を開設。平成12年ライオン橋法律事務所を開設し、現在に至る(現在弁護士4名)
(2)
活動歴
【大阪弁護士会】
平成9年
平成13年
平成23,24年
平成25年
人権擁護委員会委員長
副会長
総合法律相談センター運営委員会委員長
司法修習委員会委員長
【日弁連】
平成13年
平成14年
平成20,21年
平成22年
平成25年
理事
憲法特別委員会副委員長
人権擁護委員会委員長
常務理事
司法修習委員会副委員長
【公職歴】
民事調停委員 法務局人権擁護委員 大阪府特別職報酬等審議会委員 大阪市精神保健福祉審議会委員 大阪市児童虐待防止プロジェクト委員 大阪市人権施策推進審議会会長 法務省難民審査参与員 厚労省年金記録確認第三者委員会等

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