「依存症ってどんな病気?」のご報告
春秋会の先生方
いつも大変お世話になっております。
研修委員の田村と申します。
昨日,研修委員会初の試みである,7会派合同研修「依存症ってどんな病気?」(講師:松本俊彦先生)に参加させて頂きました。
刑事弁護などで覚せい剤使用者と接する機会も多々あり,薬物依存症についてはある程度理解しているつもりでしたが,薬物依存症についての見方が180度変わってしまうような,本当に素晴らしい研修でした。


(沢山の先生方で会場が埋め尽くされていました!)
先生方は,「薬物依存症の人」というとどんな人を思い浮かべますか。
顔色が悪く,目が落ち窪んで,焦点が定まらないゾンビのような人を思い浮かべないでしょうか。
(私も真っ先にそのようなイメージを思い浮かべる1人でした)
実は,多くの人が抱くこのイメージこそが,薬物依存症の人の回復を妨げる原因なのだということです。
そもそも,人が依存症になる原因というのは共通しており,それは「社会や人からの孤立」だそうです。
人が生きていくうえで悩みや辛い出来事はつきものですが,多くの人はそれを周囲の人に相談したり頼ることで解消します。
しかし,社会や人から孤立している人(もしくはそう感じている人)は,他の人に相談したり頼ることで解消するということが出来ないため,現実の辛さや悲しみから逃れるために薬物やアルコールという物質に依存していくのだそうです。
さらに,日本では,アルコールを飲んでもそれだけでは犯罪にはなりませんが,覚せい剤を使用すれば犯罪となること,また小中学校での偏った薬物教育(「薬物依存者に対するゾンビのようなイメージ」「薬やめますか,人間やめますか」「ダメ,ゼッタイ」)によって,薬物依存症の人だけが人の道を踏み外してしまった者のような扱いを受けます。
こういった周囲の認識によって薬物依存症の人は周囲から理解されずに隔離され,ますます孤独になり,頼れる物が薬物だけになることでさらに依存を深めていく(また,薬物を使用した人自身もこういった教育を受けているため,使用について大きな罪悪感を抱え,周囲には容易に相談できない)という悪循環が起きているのです。
このような薬物依存症の人にとって本当に必要なのは,「刑罰」や「隔離」ではなく,周囲の「理解」や「支援」です。
禁煙や断酒を目指す人が,喫煙してしまったり,飲酒してしまったりを繰り返しながら結果に向けて努力していくのと同じように,薬物依存症から回復しようとしている人に対しても,治療の過程で薬物を使用してしまってもそれを咎めず,安心して薬物を使いながら治療して行ける環境が実は必要なんだと仰っておられました(松本先生がこう言い切られたときにはちょっとビックリしましたが)。
また,松本先生から弁護士へのメッセージとして,薬物依存症の人にとっては,孤独にさせないこと,人とつながりを作ることが回復への道になるので,事件で出会う薬物依存症の人に対して,無理のない範囲でいいので,人とのつながりを作るための「ちょっとしたおせっかい」をしてもらえると嬉しいと仰っておられました(このあたりの詳細は西川先生の報告を読んで頂けたら幸いです)。

人や社会とのつながりが必要な人が依存症になっていくということ,またその依存症の人を回復させるのも人や社会とのつながりだと知り,とても考えさせられました。
eラーニングで見ることができますので,参加できなかった先生方にも是非見て頂きたいです!
また,当初,松本先生は研修後の懇親会には出席できない旨仰っておられたのですが,「少しだけなら大丈夫」と言うことで懇親会にも参加して下さり,ご一緒に麻薬取締部(マトリ)の方々も参加して下さり(!),時間の関係で研修中にはできなかった質問も沢山出て,大盛り上がりでした。

また,研修委員会としてこのような企画ができればいいなと思う一日でした。
今後とも宜しくお願い致します。