懲戒制度勉強会 ご報告

政策委員長村瀬です。
3月4日実施の懲戒制度勉強会について報告します。

第1、制度の説明など
最初に宮崎裕二さんより、懲戒制度の概要についての説明がありました。

添付の資料は弁護士白書からのものであり、日弁連HPで閲覧可能とのことです。
宮崎さんが感じている問題点として、綱紀委員があたかも犯人扱いする場合がある、求められる書面も答弁書でなく弁明書である、懲戒請求があると理不尽な請求でも登録替えも登録抹消も出来ない、といった報告もありました。
懲戒請求を受けたときの心構えとしては、代理人を頼むべきではないかというアドバイスがありました。自分のこととなると感情的になり、冷静に対処できていない場合があるとのことです。
代理人を委任する場合の費用が話題となり、人間関係でやる場合には手弁当的なスタンスでやるという経験談の紹介もありましたが、懲戒請求だけでなく損害賠償請求もあれば弁護士賠償保険の特約を使って代理人への委任費用も保険金請求できる場合があるとの情報提供もありました。
また、懲戒手続を受けた場合、日常的な相談ごととは違うので、誰に相談し、依頼したらいいかわからないため、例えば、会派内にそういった受け皿があるとよいのではという意見もありました(大阪弁護士会には、会員サポート窓口がありますが、簡単にはそこに飛び込めないということでしょうか。)

第2、意見交換
参加者の共通の関心は、やはり不合理な懲戒請求があると負担が大きいので、何らかの方策が考えられないかとの点でした。
1、申立を制限できないかとの観点について
弁護士法の規定で「何人も」請求できるとあり、これを変えようとすることは困難でありかつ危険であるというのが参加者の中での議論の出発点のようでしたが、
①  明らかに根拠を欠くことへの悪意重過失があれば損害賠償請求できるとの最高裁判例を根拠に対抗するべきとの意見
②  関連して、損害賠償請求の引き当てになるよう、請求時に担保や予納のような制度を設けるべきではないかとの意見
③  せめて、郵便切手くらいは納付を求めるべきではないかとの意見がありました。
ただ、日弁連の検討状況は、②③のような制度を設けることは「何人も」請求できるとの規定の解釈に反することになるため不可という趨勢であるとのことです。
これに対し、裁判を受ける権利においても、印紙郵券の納付は必要となっており、訴訟救助の制度もあることで権利保障がなされているので、同様に考えられないかとの意見もあり、やや議論が紛糾しました。短時間の勉強会では十分な議論も出来ませんので、今後の課題であることを確認しました。

2、申立段階でなく、事件係属中や結論が出るまでの負担について
①審理期間について
民事賠償請求と並行していた場合、民事請求の結論が出るまで棚晒しにされた。
関連して、明らかに不合理な申立については、早急な結論を出すべきとの意見がありました。
また、弁明書を提出した後に、請求者から反論があると、さらに再弁明を求められることが繰り返される負担があるとの紹介がありました。
なお、弁明書という用語は会則に規定されているので、これを変えようとすれば会則変更が必要であり、また、「弁解」に比べれば「弁明」は必ずしも悪い言葉ではない、との指摘もありました。
②担当委員の人選等について
DV事件の相手方からの申立(法的手続は依頼者の意思であるはずはなく弁護士が不当に誘導しているなどの申立が多い)において、綱紀委員が家事事件をほとんど取り扱っていないようであり、理解を得るのに苦労するので、対象となっている案件をある程度取り扱っている人が選ばれるべきではないか。委員はベテランの男性の感覚で対応しているというイメージがあり、女性や若手も含めた構成となるべきではないか。との意見がありました。
関連して、委員の統一的なスタンスを示すようなガイドラインがあるべきとの意見があり、委員には手続の流れなどのマニュアル的なものは配られるものの、心構えやスタンスについての指導はないのではないかとの指摘がありました。(この点、後で、綱紀
委員会の年度末報告書を見ると、委員向けのQ&Aの配布と研修会を実施しているとの記載がありましたが内容がわかりませんので、私には何とも言えません。)

3、その他  次のような意見もありました。
①弁護士会が会長名で声明を出すと会長が懲戒請求されることの問題
②声明を出した弁護士会の会員全員への請求を懲戒請求でなく意見表明と取り扱った事
例の紹介
③弁護士の懲戒制度は憲法違反なのではないか、労働組合の統制権のような形で再構築されるべきとの意見(個人的には弁護士法改正を求めることの危険性をどう考えるかと、提案の制度の現行制度との違いについて理解できていません。)
④懲戒とならない結論に至った場合には、請求を受けた人の負担に報いるために、金銭的補償のようなことも考えてはどうか。その額の算定に期間を加味すれば手続の迅速化がはかられるとの効果もあるのでは。

第3、感想
会長経験者から新人まで幅広い層に参加いただき、この問題についての関心の高さが窺われました。
不合理な請求による負担防止のため、何人も請求できる旨の弁護士法の規定と何らかの制限を設けるべきではとの関係については、伝統的な解釈と新たな解釈の余地があるかとの問題と思われますが、簡単に結論が出るものではないことは間違いないでしょう。
この点、私見ですが、新たな解釈の余地はあるにしても、新たに制限を設けた場合、外部から見れば「弁護士会が自分たちの保身をはかろうとしている」と見られてしまうと、かえって、悪い方向への改正につながりかねない危険も感じ、慎重な検討が必要のように思います。
1日限りの短時間での勉強会ですが、皆さんの検討のきっかけとなれば幸いです。

※10頁以下 補足意見をご参照ください。

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