
日時: 平成23年9月6日 午後6時30分~午後8時30分
場所: 大阪弁護士会 1205会議室
本研修の内容
講師を引き受けてくださったのは,有村とく子先生(50期),上出恭子先生(51期),小橋るり先生(51期)山本淳先生(51期)です。コーディネーターをしてくださった小橋先生の進行のもと,講師の先生方にご自身や周りの弁護士のヒヤリハット経験談を座談会形式で語っていただくことで,若手弁護士が今後の弁護士人生で気をつけるべき点や見落としがちな盲点を学ぶという研修でした。当日は,40名を超える春秋会会員にご参加いただき,大変盛況で充実した研修となりました。
総論のお話
まず,冒頭で,それぞれの先生方から,これまでで一番やってしまった!と思った失敗談をお話いただきました。どのエピソードも大変インパクトのあるもので,皆,真剣な表情で聞き入っていました。その後,期限の管理,事務局とのコミュニケーション,依頼者とのコミュニケーション,利益相反,スケジュール管理など,弁護士として仕事をするうえで気をつけるべきことについて,具体例を交えて総論的にお話していただきました。
一例を挙げますと,離婚事件の依頼者に書類を送ってもらうつもりで事務局に「Aさんに送ってください。」と指示を出したところ,相手方のAさんに間違って送られてしまったというような,いかにもやってしまいがちなエピソードとともに,事務局への指示を丁寧に行うことの大切さを教えていただきました。
新人弁護士である私は,エピソードを伺うたび,自分も同じ失敗をしてしまったような気分になり,どきどきしましたが,それだけに大変印象に残り,とても勉強になりました。
各論のお話
次に,講師の先生方それぞれから,特定の分野(刑事事件,労働事件,家事事件,倒産事件)について,さらに掘り下げてお話をいただきました。
*刑事事件・・・小橋先生

これまで130件以上の刑事事件を担当してこられた小橋先生から,主に身体拘束事件に関し,心構えや気をつけるべき点をお話いただきました。
初回接見できちんと挨拶する,被疑者の体調を気遣うなどによって,信頼関係を築くことが大切であるが,一方で,被疑者・被告人に頼まれたことを何でも引き受けてはいけないという助言をいただきました
*労働事件・・・上出先生

労働事件について豊富な実務経験をお持ちの上出先生から,消滅時効との関係で期限の管理をすることの大切さなどについてお話いただきました。残業代支払請求事件について,月ごとに支払請求権が発生するので,毎月,時効にかかっていくこと,従業員数名から受任する場合は,被告の主張如何によっては,各当事者ごとの利害関係が異なってくることをあらかじめ受任の段階で説明しておくことなど,実務的な観点から気を付けるべき点を解説していただきました。
*家事事件・・・有村先生

家事事件を多く受任されている有村先生から,主に離婚事件やDV事件について,心構えや気をつけるべきことをお話しいただきました。
離婚事件の相手方から危険な目に遭わされたというご体験から得られた教訓などがとても心に響きました。
*倒産事件・・・山本先生

倒産事件について,豊富な実務経験をお持ちの山本先生から, 財団債権となる未払い賃金は破産開始決定前3か月のものに限られることなどから,破産事件を受任したらすみやかに申立をすべきである。管財事件については,まず,管財人に就任する段階で,利害関係人に自分の依頼者がいないかきちんとチェックする,裁判所以外から報酬を受け取ってはいけないなど,豊富なエピソードとともにわかりやすく解説していただきました。
さいごに
講師の先生方に各論のお話をいただいた後,質疑応答の時間が設けられ,新63期の会員2名から,刑事事件に関する質問がなされました。その後,本年度幹事長の福田健次先生から,閉会のご挨拶として,「困ったときは一人で悩まず,春秋会の先輩弁護士に相談しましょう。そのために会派があります。」という温かいお言葉を頂戴して,本研修は終了しました。
本研修は事前に参加申込いただいていた会員は全員出席で,飛び入りで参加してくださった会員もいらっしゃいました。和気あいあいとした雰囲気の中で行われた研修でしたが,皆,講師の先生方のお話に真剣に耳を傾け,大変意義のある研修になったと思います。 研修後の懇親会にも30名を超える会員にご参加いただきました。お一人お一人から,ご自身のヒヤリハット経験談を交えた自己紹介をしていただき,大いに盛り上がりました。私個人としましては,小橋先生,上出先生が同期の山本先生に激しくツッコミを入れていらっしゃるのが,とても面白かったです。
最後になりましたが,後輩弁護士のためにとのお気持ちから,快く講師を引き受けてくださり,ご自身のヒヤリハット体験談を赤裸々に語ってくださった有村先生,上出先生,小橋先生,山本先生に心からお礼申し上げます。また,このような貴重な機会を設けていただいた若手会代表の原正和先生,若手会担当幹事の松浦由加子先生,若手会58期世話人の林堂佳子先生をはじめ,お世話になりました春秋会の先生方に感謝申し上げます。


