
本年度春秋会研修企画の第一弾として、平成23年6月1日午後6時30分から2時間余り、大阪弁護士会館にて、春秋会研修委員会と春秋会若手会共催による著作権研修が行われました。当日は、あいにくの雨天でしたが、24名の先生方にご出席頂き、時間いっぱいまで質疑応答が続くなど、とても充実した研修となりました。
身近にある著作権問題
本研修のコンセプトは、普段の弁護士業務や、日常生活で行っている行為を取り上げて、著作権法の基礎(理論・実務)について学ぶというものです。また、サブタイトルの「駆け出しA君」という設定のとおり、著作権法初心者である「新人」の視点から著作権問題を取り上げることにより、専門性があって敷居が高いと思われる著作権法をより身近に感じる機会を提供するものでした。
講師は、春秋会会員の中世古裕之先生(48期)でした。中世古先生は、弁理士登録もされ、知的財産問題に積極的に取り組まれていますが、そもそも先生が知財事件に関わりを持つこととなった事件(「街路灯事件」)の内容をイラストも交えて紹介して頂き、大変興味深いお話を聞くことができました。
条文から丁寧に
研修ではまず、著作権法を考える上での大きな視点(著作物性(著作権の客体)、著作者・著作権者(主体)、著作権の内容、保護期間等)や、著作権の内容(著作(財産)権、著作者人格権)について、条文を一つ一つ丁寧に確認しながら、著作権法の体系を学習していきました。
次に、短い事例を用いて、先ほど学習した視点等に照らして、条文を引きながら実際に著作権法を使う練習をしました。その最中にも、要所ごとにポイントなる考え方や、実務上の留意点などについて、丁寧に解説して頂きました。私は、大学やロースクールでも著作権法の講義を受けたことがなかったため、とても新鮮な気持ちで中世古先生の解説を聞いていました。
また、事例の中には、著作権侵害の場合の救済方法について検討するものがありましたが、それに対しては、採り得る手段を示したうえで、訴状の文例を用いながら、「請求の趣旨」の書き方や要件事実等を確認するなど、明日からでも使える実務の基礎を教えて頂きました。
最新判例をよむ
今回の研修は、前記のとおり著作権法初心者である新人の視点に立ったものでしたが、最近の著作権法のホットなテーマである、ロクラクⅡ事件判決(最一判平成23年1月20日)、まねきTV事件判決(最三判平成23年1月18日)についても網羅していました。
ロクラクⅡ事件については、従前の判例の見解とされていた「カラオケ法理(クラブキャッツアイ事件)」の枠組みを紹介したうえで、本件事件の判断枠組みとの関係等について、詳細な解説をして頂きました。最新判例のため判例評釈等がほとんどないタイミングで、貴重なお話を聞くことができました。
また、時間が迫っていたなかでも、ロクラクⅡ事件とまねきTV事件との違いなどにつき解説して頂き、今後の勉強のための布石を置いて頂きました。
さいごに
とても充実した内容で、あっという間に所定の2時間が経過してしまい、もうあと何回か中世古先生の研修を受けることができればなぁ、と私は内心そう思いました。今回の著作権法研修を通して、「もっと著作権法を勉強したい」という気持ちが芽生えたことは、私にとって大変有意義であったと思います。
研修後の懇親会では、著作権法は一旦横に置いて、日常の弁護士業務についてのアドバイスを頂きながら、中世古先生や研修に参加して頂いた先生方と楽しくお話することができ、大いに盛り上がったと思います。
最後になりましたが、詳細なレジュメをご準備して頂き、丁寧に解説をして頂いた中世古先生に心からお礼申し上げます。また、このような貴重な機会を設けて頂いた今年度研修委員長の林邦彦先生、前年度研修委員長の村上博一先生、若手会代表の原正和先生をはじめ、お世話になりました春秋会の先生方に改めて感謝申し上げます。
以上


