
2007年10月11日、第2回政策ミニシンポを行なった。
今回のテーマは「法曹人口3000名増員の是非」。パネリストは松森彬氏(基調)、森下弘氏(法曹養成・弁護士過疎)、増田尚氏(司法改革は失敗)の各会員と朝日新聞司法記者の田井良洋氏(弱者救済の必要性)の4名であった。
宣伝が少なかったためか参加人数約30名と少なめであったが、多角的視点からの発言があって内容は極めて濃く、大変好評であった。
その内容は概ね以下のとおりである。
現在の法曹人口が少な過ぎることについては異論が無いようであった。ただ、年間増員数3000名という数字については、その根拠が司法研修所の容量くらいしか無く極めて薄弱であることが分かった。そして、急激な増員がもたらす弊害が大きいことも共通認識になったように思われる。
他方で、いったん3000名で決めた以上、その減員主張に世論の理解を得るためには津々浦々へ法的サービスを行き渡らせる必要があり、法律事務を独占している弁護士会にその責任があるが、その責任をまだ果たしていないので減員主張はするべきでないという意見もある。その際、弁護士の就職問題を強調することは市民から反感を持たれるだけであるという意見も付された。

これに対しては、増員(特に3000名もの大幅増員)と過疎地対策に直接の関係は無く、現状でも使命感をもって過疎地へ行く弁護士が存在するのであるから、弁護士が増えれば都市部から溢れて過疎地にこぼれていくという議論は余りに乱暴であるという反論があった。
さらに、日弁連が3000名増員に賛成する決議を行なったと言われるが、その決議の手続には瑕疵があったという意見も出された。新聞記者からは、地域社会の中で弁護士の存在が見えておらず、救われるべき弱者が放置されているという現状認識の下、事件の掘り起こしや、より熱心な弁護活動が必要であるとの意見が出された。

法曹養成については、ロースクールができたからといって弁護士の質が上がるわけではない、そもそも大学教員に法律実務を教授する能力がない等の根本的な批判があった。
弁護士の収入に関しては、生活を豊かにした上で余力を人権活動に回すという発想自体に疑問が呈される一方で、経済的に独立しなければ法曹として他勢力から独立した仕事ができない、という反論もあった。

結局のところ、増員人数については、その必要性を科学的に検証し、3000名が多過ぎるとの結論になれば、これまでの経緯を踏まえ、市民の納得という観点も考慮に入れた上で、増員数減少のための具体的政策を弁護士会が提起し、大々的に宣伝しなければならないとの結論になったように思われる。
いずれにしろ、この問題は、近い将来に裁判員制度が実施されることで、弁護士会側の体制を築かなければならない一方で、直接的な市民参加が始まって弁護士及び弁護士会に対する注目を浴びるのであるから、緊急に議論を進める必要がある。


